[コメント] 笑う大天使〈ミカエル〉(2006/日)
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マンガ原作のキャラを演じることも多い上野樹里だが、彼女の「笑わせる表現」の仕方は、コミック的な表現とは相容れない気がする。なんの証拠もないが、彼女はあんまりマンガを読まない人か、少なくとも自分の芸にマンガ的な笑いの技術をとりいれてはいないと思う。彼女の作り出すユーモアは、例えば友達同士のふつうの会話の中で、会話の自然な流れを壊さずに、ちょっと面白い一言をはさむという感じで、むしろ流れの中でなければそれほど面白いことを言っているわけではない、という感じに近いのだと思う。それに対し演出家は、コミック的なバキーン!ぎゃぼーん!というような、流れを断ち切る唐突さの面白さのようなのを、やる気まんまんでいるもんだから、齟齬を起こしているのだ。
上野樹里は芝居を通して、共演者の呼吸や監督の意図をサーチしながら作品の雰囲気をつかんでいき、その作品の中に自然に自分を溶け込ますタイプの役者だと思う。ブルースクリーンの中ではさぞやりにくかったのではないだろうか。
CGのキッチュさや、広川太一郎のナレーションなど、監督のやりたい「笑い」の世界というのが、上野樹里を始めほとんどの出演者にミスマッチだったように思うが、それ以前にこの監督はあまり笑いを作るのには向いていない気がする。「巨大樹里ちゃんのCG」なんていうことが私にそう思わせるのだけど…。それに原作とは関係ないのかも知れないけど、せっかくなら女学園の特有の甘酸っぱい雰囲気なんかも表現して欲しかったねえ。ミッション系制服よりも工作員服のほうが魅力的に描けてしまうというのは、もう監督の個人的な体質の問題なんでしょう。
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