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[コメント] ジョーズ(1975/米)

人が喰われたことを警察が発表し、報道が報じないと、人はまた喰われるという真実の映画。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 浜に上がった女性の遺体は鮫に食べられていた。にも関わらす「漁船のスクリューに巻き込まれただけ」と言い張る地元自治体の議員や市長。夏の観光シーズンの到来を前に、出現したのが「バラクーダなら問題ない。でも鮫はマズい」と警察署長(シャイダー)を説き伏せようとする。都合の悪い現実を直視しようとせず、新コロ対応に右往左往する今の政界の姿と重なり、身につまされる。最初に捕獲された虎鮫(ドレイファスが“タイガー・シャーク”と言っていた。人喰い鮫の一種らしいが、今回の真犯鮫ではない)の胃からルイジアナ州のナンバープレートが出てきた。今なら差し詰めプラスチックごみとかが出てくるみたいなことかしら。

 なかなかその全容を現しはしない主犯の人喰い鮫。鮫に襲われパニックに陥る真夏のビーチを描くことが主題かと思ってたけど、そうじゃない。鮫の退治に立ち上がった男たちと、当の鮫との間で繰り広げられる死闘がテーマだった。そこに結実するところがよい。黄色に塗られた“樽”の存在なんかも実に効果的だった。例えて言うなら、海の猛獣との闘いを熟知した男の扱う道具として、実に具合のよい存在感なのだ。鮫そのものも、たいしておどろおどろしさのない造形だった。そう。おどろおどろしさを造形で見せる必要のない映画である。簡単に言えば「見せ方」が上手い。映画の「見せ方」を見せてくれた作品だったように思う。

80/100(21/1/17記)

(評価:★4)

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