映像も物凄いけど、とにかくシナリオの出来には舌を巻く。

やっぱりどんな映画でもシナリオは大切なんだな。

大人、特に男性の視点から見れば、チョイと夢の無い話に見えやしません？営業マンのモンスター、ノルマに追われる日々、社員同士の争い。オトコはモンスターの世界でも仕事や会社に縛られ、女性関係でトラブルが絶えない。アニメの世界にまで厳しい「現実」が追いかけてくるのは、チト酷な気がしたなぁ。

でも、サリーと言うモンスターに「優しいお父さんの視点」を持たせてくれたのは大きな救い。父性賛歌を謳ってくれた事が、この映画で一番嬉しいポイント。逞しい母性は子供にとってすごく大切だけど、不器用ながらも一生懸命子供と向き合おうと努力する父性をもっともっと応援してあげたい、そんな気持ちになった。ん〜泣けた。

とっても平和的な映画なんだけど、気になる所が一つ。悪役のランドールに救いが無いこと。結局、彼がした事は間違ってると言わざるをえないけど、彼だってノルマをせっせと稼いで会社に貢献してる一社員。そんな彼がモンスター界を追放され、人間達に容赦なくドツキ回されるシルエットを見て、少し胸が痛くなった。そんなヒドイ仕打ちを受けるほどの極悪人かなぁ・・・？ベタだけど「悪いヤツも最後には改心して・・・」って言う展開の方が個人的には好み。特にこう言う子供向けの作品では、最後まで「優しさ」を貫いて欲しかったなぁ。

悪意は無いんだろうけど、この映画って「ピクサーの会社自慢」にも見える（笑）。わざわざ物語の舞台に「会社」を選んでいる辺り、「わが社、ピクサーはこーーんなに素晴らしい仕事をしてまっせ〜♪」みたいなメッセージがこっそり込められてるようで、なかなかの策士集団だなぁと思ったw。モンスターズ社は結局社長が悪者だったけど、実際のピクサーはそれはそれは楽しくて面白くてイイ会社なんだろうなぁ。正直、働いてる社員が羨ましい....でも凡人である自分とは住んでる世界が違うんだろうなぁ...と思うと、ますます嫉妬してしまう（笑）

素晴らしいクリエイト集団であると同時に、大変な策略家でもあるピクサー。

その徹底した仕事振りは、凡人に力の差と厳しい「現実」を見せ付ける。

悔しいけどレベルが違いすぎる、これは勝てん（笑）