[コメント] 20世紀少年<最終章> ぼくらの旗(2009/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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「実はあの映画のあそこに出てるんですよ」とか、それこそ芸人やら何やらが各々テレビで得意げに言ってそうで。こういう遊びの全てを否定する気はないけど、この節操のなさは遊びで済む域を超えてるでしょ。ロクな演技を見せてくれるわけでもないから、出てくる度に気が散ってしょうがなかった。
途中までで読むのを止めてしまった原作なので、原作の結末は知りません。が、少なくともこの映画のラストは蛇足じゃないのかなぁ。あえて正体を曖昧にしたままの方が個人的には面白かったと思う。
思い出せないのかと思いきや、実は人々の(無意識にでも)記憶から亡き者にされてしまった人たち。泣いているのか、笑っているのか、それとも怒っているのか。ガラスに映し出されたのっぺら坊は、「僕の顔をどこへやったの?」と観る者それぞれに訴えかけているようだ。
「そうだよ、ぼくが20世紀少年だよ」と名乗る彼は、新時代の幕開けと共に、古い時代に置き去りにされていく様々なものの塊なんじゃないのかな、とか。要は、あえてのっぺら坊のままにした方が、その匿名性ゆえにより普遍的なテーマが浮かび上がると思ったので。
それはさておき、考えてみれば過去のオトシマエをつけることと、過去をやり直すってことはなんかズレてないかな。思い出したくもない後悔とか、葬り去りたい恥ずかしいこととかって、それは時が不可逆であればこそ煩悶もするしわだかまりも肥大化するワケで。そりゃあ、昔に返って昔の自分に「それは違う」「それは間違ってるだろ」って言ってやりたいことなんて、いーーっぱいあるよ。でもそれができないワケで、あくまでも戻れない「今」の時点で過去に対峙するからこそ、そのオトシマエも容易じゃないと思うワケです。
あと一つ。画面上で母娘を再会させなかったのは、あえてそうしたのか、それともただそこまで描けなかったのかがわからなかった。まあこの際いいんだけど。
(2009/9/1)
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