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[コメント] 父ありき(1942/日)

佐分利信の膝まで収めた病室、次の間を手前に配し向かいの旅館まで捉えた旅館、紡績工場、、、スタンダードサイズ、縦の構図の至高。見上げるような佐野周二の背中、規則正しく繰り返し投げ入れられる釣竿、、、周吉のセリフのように
動物園のクマ

やれるだけのことをしている、これぞ映画の傑作。やれるだけのことをするって、並大抵のことではない。画面の外から加わる音を介するつなぎ、といい、挿入される静止画のような風景、といい、映画とは見事な省略によって出来上がることが強く目に焼きつく。佐野周二が口ずさむ『会議は踊る』の「ただ一度だけ」、笠智衆の激しい発作と水戸光子の突然の号泣に、胸が詰まる。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ[*] 3819695[*]

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